ネガティブスプリットというペース配分を知っていますか?
ネガティブスプリットとは前半のタイムよりも後半のタイムが速いペース配分をいいます。
つまり、前半はゆっくり走り、後半からペースを上げる走り方です。
マラソンで最大の難関といえば「30㎞の壁」と呼ばれる後半を過ぎた一番苦しくなる場面。
歩いてしまったり、ペースを落としてしまうと前半の貯金タイムを使い切ってしまい、結局は遅いタイムでのフィニッシュとなる悪い展開のレース。
ネガティブスプリットはあえて前半をゆっくり走り、体力や脚の疲労を温存することで30㎞の壁で急激なペースダウンを予防することができます。
- 30㎞の壁でいつも歩いてしまう
- 後半でガクッとペースダウンする
- レースの勝負所がわからない
このようなランナーはぜひネガティブスプリットを試してみませんか?
レース後半での走り方がまったく変わってくるはずです。

ネガティブスプリットのメリット
ネガティブスプリットのメリットは後半に歩いてしまうことによる大幅なペースダウンを回避できることにあります。
また、レース後半にも精神的な余裕があるため集中力を切らすことなくゴールまで走り続けることが可能となります。
後半の急激なペースダウンを回避できる
ネガティブスプリットには後半での急激なペースダウンを回避できるというメリットがあります。
1㎞をすべて歩いてしまうと1㎞あたり8分前後は必要。後半にペースを上げても、歩いた分のロスタイムを取り戻すことは無理でしょう。
大幅にペースダウンするよりは、ゆっくりでも42㎞をすべて走りきった方がタイムは良くなるのです。
精神的にも楽になる
前半を速いペースで走る「ポジティブスプリット」では後半の苦しくなった場面でどれくらいペースを維持できるかが必要。
前半で体力・脚の疲労が蓄積しているので、レース中盤からゴールまでは精神的な苦しさがずっと続くことになります。
後半でペースが落ちるので、他のランナーに抜かれることで精神的には後ろ向きに感じてしまいます。
一方、ネガティブスプリットは前半をゆっくり走って余力を残しているため、後半ではペースを上げて他のランナーをごぼう抜きしていくことが可能。
他のランナーを抜くと前向きな気持ちになり、ゴールまでペースを上げていく集中力・やる気が持続します。
ほとんどランナーは後半で失速します。少しペースを上げるだけでもランナーを抜いていけるので、それほど苦しさを感じることなく走り切ることができるのです。

ネガティブスプリットの考え方
ネガティブスプリットは前半でゆっくりと走り、後半でペースを上げるペース配分テクニックです。
後半でペースを上げるといっても、前半20㎞を走った後なので大幅なペースアップは期待できません。
「イーブンペースで走り続けて後半に気持ちよくペースを上げてゴールできた」という感覚が大事になります。
前半は設定タイムよりも10秒~20秒ほど遅いペースを維持。
中盤から徐々にペースを戻していき、15~25㎞の区間でイーブンペースで走ります。
25㎞から42㎞までの後半は1㎞あたり10~30秒ぐらいのペースアップが目標になります。
サブ4.5を目指す!ネガティブスプリットのペース配分
サブ4.5のイーブンペースはこちら。
1kmあたり6分24秒ペースで走ると4時間30分でゴールできます。
距離 | 通過時間 | 1㎞あたりのペース |
5㎞ | 0:32:00 | 0:06:24 |
10㎞ | 1:03:59 | 0:06:24 |
15㎞ | 1:35:58 | 0:06:24 |
20㎞ | 2:07:57 | 0:06:24 |
ハーフ | 2:15:00 | 0:06:24 |
25㎞ | 2:39:56 | 0:06:24 |
30㎞ | 3:11:55 | 0:06:24 |
35㎞ | 3:43:54 | 0:06:24 |
ゴールタイム | 4:30:00 | 0:06:24 |
ネガティブスプリットでは前半の21㎞を2時間18分30秒(3分30秒遅い)で入り、後半は2時間11分(4分速い)で走ることを目標にします。
前半のペース平均…1㎞あたり6分32秒
後半のペース平均…1㎞あたり6分12秒
サブ4を目指す!ネガティブスプリットのペース配分
サブ4のイーブンペースはこちら。
1kmあたり5分41秒ペースで走ると4時間00分でゴールできます。
距離 | 通過時間 | 1㎞あたりのペース |
5㎞ | 0:28:26 | 0:05:41 |
10㎞ | 0:56:53 | 0:05:41 |
15㎞ | 1:25:20 | 0:05:41 |
20㎞ | 1:53:47 | 0:05:41 |
ハーフ | 2:00:00 | 0:05:41 |
25㎞ | 2:22:14 | 0:05:41 |
30㎞ | 2:22:14 | 0:05:41 |
35㎞ | 2:50:41 | 0:05:41 |
ゴールタイム | 4:00:00 | 0:05:41 |
ネガティブスプリットでは前半の21㎞を2時間3分30秒(3分30秒遅い)で入り、後半は1時間56分(4分速い)で走ることを目標にします。
前半のペース平均…1㎞あたり5分51秒
後半のペース平均…1㎞あたり5分29秒
サブ3.5を目指す!ネガティブスプリットのペース配分
サブ3.5のイーブンペースはこちら。
1kmあたり4分51秒ペースで走ると4時間30分でゴールできます。
距離 | 通過時間 | 1㎞あたりのペース |
5㎞ | 0:24:53 | 0:04:51 |
10㎞ | 0:49:46 | 0:04:51 |
15㎞ | 1:14:39 | 0:04:51 |
20㎞ | 1:39:32 | 0:04:51 |
ハーフ | 1:45:00 | 0:04:51 |
25㎞ | 2:04:25 | 0:04:51 |
30㎞ | 2:29:18 | 0:04:51 |
35㎞ | 2:54:11 | 0:04:51 |
ゴールタイム | 3:30:00 | 0:04:51 |
ネガティブスプリットでは前半の21㎞を1時間48分30秒(3分30秒遅い)で入り、後半は1時間41分(4分速い)で走ることを目標にします。
前半のペース平均…1㎞あたり5分08秒
後半のペース平均…1㎞あたり4分47秒
サブ5より遅い場合はネガティブスプリットをやらない

目標タイムがサブ5~完走の場合、ネガティブスプリットはおすすめしません。
なぜなら前半に遅く走ってしまうと関門で途中リタイアになってしまう可能性が高いためです。
マラソン大会の多くはコース上に数ヶ所の関門があり、制限時間内に関門を通過しないとリタイアとなります。
特にコース前半の関門は制限時間が厳しくなっている大会がほとんど。
サブ5のペースでネガティブスプリットをしてしまうと体力が残っているにも関わらず前半でリタイアという悲惨な結果となるため注意しましょう。
サブ5~完走が目標であればイーブンペースで走り続けることがおすすめ。
スタート直後から目標タイムのペースメーカーにずっと付いて走る方法も有効です。
https://marathon-start.com/everday/